Crossoversクロスオーバー

クロスオーバーはラウドスピーカーの心臓部であり、各ドライブユニットの動作を制御します。
ナチュラルかつ正確なサウンドを再生するために、PMCが用いている技術について解説します。

パッシブ・クロスオーバーとは?

パッシブ・クロスオーバーは、アンプ(バイアンプ接続の場合は複数のアンプ・チャンネルから)からハイレベルのオーディオ信号を受け取り、パッシブ・コンポーネント(インダクター、コンデンサー、抵抗など)を使用してこの信号をフィルターし、適切な周波数特性と相対的な信号レベルをスピーカーの各ドライブ・ユニットに供給します。
パッシブ・クロスオーバーの利点は、カスタマイズ性にあります。パッシブ・クロスオーバーでは、スピーカーを駆動するアンプを自由に選択でき、必要に応じてフロントエンド・コンポーネントをアップグレードできます。

シミュレーション vs リアリティ

PMCでは、よりスムーズな周波数特性が得られるよう、パッシブ・クロスオーバーの設計を行う際には様々なクロスオーバー・トポロジーのシミュレーションを行うところから始まります。この基準となるクロスオーバーが完成し、シミュレーションと一致することが確認された時点で多くのメーカーは「完成」だ言うところですが、PMCにとってはまだ第一歩に過ぎません!
ここからスピーカーのボイシングを可能な限り自然で透明感のある正確なサウンドに近づけるため、リスニング・テストが始まります。部品を1つずつ変更しながら、広範囲に渡る計測が繰り返し行われます。

1000のコンポーネントを試す = ベストを見つける旅

コンポーネントの値が決定したら、次は様々なメーカーやタイプの物を入れ替えながら最良の物を見つけるリスニング・テストが再び始まります。
このプロセスがどれほど大変な事かの例を挙げると、インダクター1個を選択するのに、空気コア、鉄コア、スチールラミネートコア、異なるワイヤーのゲージ、異なるワイヤーの素材… など、様々なタイプを比較します。基板上にある部品の数だけこのプロセスを行うと考えると、どれだけ時間を要する大変な作業かお分かり頂けると思います。

最終調整

最後に、パッシブ・コンポーネント間の不要な相互作用を避けるために、PCB上のコンポーネントのレイアウトと配置が最適化されます。
例えばインダクターは、磁気カップリングやリンギングが発生しないように、互いに可能な限り離し、反対方向に配置する必要があります。これらのステップをすべて完璧に終えて、初めて完成と言えます。

より簡単で時間短縮できる方法もありますが、PMCでは余分な労力をかける事でお客様に真に優れたオーディオ体験を提供することができると知っているからこそ、努力を惜しみません。

アクティブ・クロスオーバーとは

PMCのアクティブ・クロスオーバー設計の大半には、デジタル信号処理(DSP)を使用しています。
PMCのDSPクロスオーバーは、まずアナログまたはデジタルの音源から低レベルの信号を受け取り、オーディオ信号を各ドライブ・ユニットに適した周波数帯域幅と相対レベルに分離します。次にEQを使用して各ドライブ・ユニットのレスポンスをさらにリニアにし、デジタル・ディレイを使用してドライブ・ユニット間のタイム・アライメントと位相差を補正します。

フィルタリングされた各信号は、各ドライブ・ユニットごとに独立したアンプ・チャンネルに送られます。そのためアンプとドライブ・ユニットの間にパッシブ・コンポーネントが配置されることはありません。これにより、各ドライバーのダイアフラムの動きをアンプがよりコントロールできるようになり、より正確なサウンド再生が可能になります。

アクティブ・クロスオーバーを使用するメリット

デジタル・アクティブ・クロスオーバーを使用するメリットは数多くあります。設計者は、周波数帯域とタイム・コントロールの両方でドライブ・ユニットの動作を完全にコントロールできるため、より正確なスピーカー設計を実現できます。そして、多くのデジタル・クロスオーバーはカスタマイズ可能なEQやフィルターを追加することができ、あらゆるシステムや環境にもシームレスに適用できます。

また、サウンドシステム全体の複雑さが軽減できるメリットもあります。EQなどコントロール系の他にもプリ&パワーアンプ、DACなどを1つにまとめる事ができるため、エンドユーザーが用意するのは音楽を再生するソースとスピーカーだけになります。

これらのコンポーネントは全てスピーカー設計者によってセレクトされるため、最適なADC/DACチップ、DSPプラットフォーム、アンプを選択し最高のパフォーマンスを引き出すことができます。

クロスオーバーの設定

クロスオーバー・フィルターは、いくつかのパラメーターに分かれています:
・ニー周波数: 入力されるオーディオ信号に対して減衰し始める周波数。
・クロスオーバー・スロープ: 入力されたオーディオ信号がニー周波数を超えた時、減衰させる割合。
・Q幅(またはフィルターの品質): ニー周波数付近で、フィルターがどのように動作するか調整。パスバンド / ストップバンドする範囲。

The green line is 24dB/8ve – What PMC use
The blue line is 12dB/8ve
The red line is 6dB/8ve

最も基本的なクロスオーバー

フィルターのスロープはdB/オクターブ単位で指定され、ニー周波数を超えた各オクターブに対して何dB減衰させるかを決定します。パッシブ・クロスオーバーでは、クロスオーバー・スロープが急であればあるほど部品点数が増えて回路設計が複雑になり、設計や最適化が難しくなります。
最も単純なクロスオーバー・フィルターのスロープは6dB/オクターブで、「1次(First order)クロスオーバー」として知られています。これはハイパス・フィルターであれば1個のコンデンサーで、ローパス・フィルターであれば1個のインダクターで実現できるため、シンプルさと純度さから多くの企業が採用しています。

シンプルなほど高価格な理由

残念なことに、1次クロスオーバーの減衰速度は非常に遅いため、1次クロスオーバーでフィルター処理されたドライブ・ユニットは、設定したクロスオーバー周波数を数オクターブ超えて非常に大きなエネルギーを出力し続けてしまいます。その結果、ツイーターの許容範囲より低い周波数でオーバードライブされたり、ウーファー/ミッドレンジのコーンが破壊するリスクを負ってしまいます。
1次クロスオーバーは、スピーカーの指向性にも異常をもたらす可能性があります。ウーファーの指向性はクロスオーバー周波数を超えると狭くなり、ツイーターの帯域と被った際には望まないロービングやコムフィルター効果を引き起こします。

24dB クロスオーバー

これらの問題を回避し、正確でリニアなサウンド再生するため、PMCは複雑な24dB/オクターブの4次クロスオーバー・フィルターを使用しています。このフィルターを使用する事で各クロスオーバーの帯域と、各ドライブ・ユニットの特性をマッチングし、各ドライブ・ユニットは最もリニアで正確なサウンドを出力できる帯域でのみ動作するようにします。
その結果、PMCスピーカーはクリーンで歪みの少ないサウンドと、高いパワー処理を実現し、驚くほどワイドで均一な音の分散を実現します。

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